高齢の方の脱水予防 水分をとる工夫
年齢を重ねると、体の水分が足りていない状態に気づきにくくなるとされています。 ご家族から「あまり飲んでくれない」というお話をうかがうことも少なくありません。 この記事では、高齢の方が水分不足になりやすい理由と、 暮らしの中で水分をとる機会をつくる工夫を、順番に説明します。
高齢の方が水分不足になりやすい理由
高齢の方は、暑さや体の水分不足に対する感覚のはたらきが低下するとされています。 あわせて、体の状態を一定に保つ調整のはたらきも低下します。 そのため、体の水分が減っていても、ご本人が気づきにくい状態が起こります。
熱中症になる方のうち、およそ半数は65歳以上の高齢の方とされています。体の中の水分が不足した状態は、熱中症・脳梗塞・心筋梗塞など、 さまざまな健康障害のリスク要因になるとされています。ご本人の感覚だけに任せず、まわりの方が様子を気にかけることが助けになります。
のどの渇きを目印にしない
体に入る水分が足りなくなると、血液の濃さの指標(血漿浸透圧)が上がるとされています。 その変化の結果として、のどの渇きを感じ、尿が濃くなります。 つまり、のどの渇きは、水分が減りはじめたあとに現れるしるしです。
のどの渇きを目印にせず、渇きを感じる前にこまめに水分をとることが目安とされています。室内で過ごしている日でも、屋外にいる日でも、考え方は同じです。
水分をとる機会をつくる工夫
一度にまとめて飲むことより、飲む機会を1日の中に散らすことが目安とされています。 水分をとる機会として、次のような場面が挙げられています。
- 起床時と、寝る前
- 入浴の前と、入浴のあと
- 体を動かすときと、その前後
- のどが渇く前のタイミング
こうした場面を生活の流れに組み込むと、飲む機会を思い出しやすくなります。
量の目安も示されています。水分の摂取量は多くの方では不足気味であり、 平均的にはコップの水をあと2杯飲めば、1日に必要な水の量をおおむね 確保できるとされています。これは高齢の方に限った目安ではなく、 広く一般に向けて示されているものです。
飲むものにも向き不向きがあります。 アルコールや多量のカフェインを含む飲料は、尿の量を増やして 体内の水分を排せつしてしまうため、水分補給としては適さないとされています。
なお、心臓や腎臓の病気などで水分のとり方に個別の指示が出ている場合は、 記事の一般的な内容よりも、担当の医療専門職の指示を優先してください。
暑い時期に気をつけること
暑い時期は、エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など、 涼しい場所をできるだけ選びます。 体調の変化に気をつけながら、早めの水分補給を心がけます。
こまめな休憩とあわせて、水分の補給と塩分の補給を行います。 高齢の方やこどもは熱中症になりやすいため、特に注意が必要とされています。ご本人だけに任せず、身近な方が見守りや声かけを行うことが目安とされています。
気になるときの相談先
食欲の低下、飲み込みにくさ、いつもと違う様子など、 気になることがある場合は、かかりつけ医・医療機関にご相談ください。
訪問診療や訪問看護を利用している場合は、飲み物のとり方や食事の様子を担当者にお伝えください。 日々の小さな変化の情報が、専門職の判断の材料になります。
とろみの指示を受けている場合は
飲み込みにくさがあり、飲み物にとろみをつけるよう指示を受けている場合は、とろみ剤の量の計算ツールが使えます。指示された段階と飲み物の量から、とろみ剤の量の目安を計算できます。登録不要・無料で、入力内容が送信されることはありません。
出典
本記事は、次の公的機関・学会等が公表している一次情報をもとに作成しています。
- 熱中症にならないために予防の行動(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html
- 「健康のため水を飲もう」推進運動(環境省)https://www.env.go.jp/water/water_supply/nomou/index.html
- 熱中症予防情報サイト(環境省)https://www.wbgt.env.go.jp/