腎臓の検査値(クレアチニン・eGFR)の見方
健診や血液検査の結果表にある「クレアチニン」や「eGFR」。 名前は見かけるものの、意味が分かりにくい項目です。 この記事では、2つの検査値が何を表しているのかと、 検査値を記録して変化をみる方法を、順番に説明します。
クレアチニンは「ろ過の目安」になる老廃物
クレアチニン(Cr)は、筋肉を動かすときにできる老廃物です。 健康なときは腎臓でろ過されて、尿と一緒にからだの外へ出ていきます。 腎臓のろ過するはたらきが落ちると、血液中に残るクレアチニンが増えます。そのため、血液中のクレアチニンの値は、腎臓のはたらきの目安として使われています。
ただし、クレアチニンは筋肉でつくられるため、筋肉量の影響を受けます。 同じ腎臓のはたらきでも、筋肉の多い方は高めに、少ない方は低めに出る傾向があります。 そこで、この影響をならすために使われるのが、次に説明するeGFRです。
eGFRは「腎臓のはたらきの推定値」
eGFR(推算糸球体ろ過量)は、腎臓が1分間にどれくらいの血液を ろ過できているかを推定した値です。 クレアチニンの値に、年齢と性別を組み合わせて計算します。 日本では、日本人のデータからつくられた日本腎臓学会の計算式が使われています。
eGFRは、値が大きいほどろ過のはたらきが保たれていることを表します。検査結果では「mL/分/1.73m²」という単位で書かれています。 あくまで推定値のため、体格や体調によって実際の値とずれることがあります。
区分(ステージ)はどう決まる?
医療の現場では、eGFRの値をもとに、腎臓のはたらきをG1からG5までの区分に整理します。 G1に近いほどはたらきが保たれており、G5に近いほど低下していることを表します。 また、eGFRが60を下回る状態が3か月以上続く場合などは、 慢性腎臓病(CKD)と呼ばれます。 CKDは、腎臓のはたらきの低下が長く続いている状態を指す呼び名です。
ただし、区分の評価は、eGFRだけで決まるものではありません。 尿検査(尿たんぱくなど)やこれまでの経過とあわせて、医師が総合的に判断します。1回の検査値だけで、ご自身で判断しないようにしてください。検査結果で気になることがある場合は、かかりつけ医や医療機関にご相談ください。
「変化のペース」をみるために記録する
腎臓のはたらきをみるうえでは、1回の値そのものに加えて、時間とともにどう変わっているかが大切な情報になります。 同じeGFR 50でも、何年も横ばいの方と、短い期間で下がってきている方とでは、 医師の受け止め方が変わります。
健診や外来のたびに出るクレアチニンの値を記録しておくと、 変化のようすをグラフで振り返ることができます。 当サイトの「血液検査の記録」ツールでは、検査結果の写真から値を読み取って記録し、 eGFRの変化をグラフで確認できます。記録は端末の中にだけ保存されます。
記録したグラフを受診時にお見せいただくと、 これまでの経過を医師に伝えやすくなります。 印刷にも対応していますので、紙でお持ちいただくこともできます。
日常生活で気をつけたいこと
腎臓のはたらきに合わせた食事や水分・お薬の調整は、お一人おひとりで異なります。市販薬やサプリメントの中には、腎臓に負担をかけるものもあるため、 新しく始めるときは、医師や薬剤師にご相談ください。検査値の見方や今後の通院の間隔についても、 かかりつけ医に確認しながら進めていくのがよいとされています。
実際に計算してみる
腎機能(eGFR)チェックでは、健診や血液検査のクレアチニン値と年齢・性別から、eGFRの目安を計算できます。登録不要・無料で、入力内容が送信されることはありません。
出典
本記事は、次の公的機関・学会等が公表している一次情報をもとに作成しています。
- エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 第1章 CKD診断とその臨床的意義(日本腎臓学会)https://jsn.or.jp/data/gl2023_ckd_ch01.pdf
- CKD診療ガイド2024(刊行のお知らせ)(日本腎臓学会)https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/ckd2024ckd2024.php
- 腎疾患対策(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/jinshikkan/index.html
- Matsuo S, et al. Revised equations for estimated GFR from serum creatinine in Japan. Am J Kidney Dis 53:982-992, 2009(査読つき学術誌(Elsevier))https://doi.org/10.1053/j.ajkd.2008.12.034